日本初開催 能登半島地震復興支援ローコード・ハッカソン初日レポート

Mendix Japan Communityは、2024522日(水)に「能登半島地震復興支援ローコード・ハッカソン」の初日をオンラインで開催した。7月5日まで1か月強に渡るハッカソンの始まりである。海外からの参加を含め、25名が開催趣旨に賛同し参集した。

まず冒頭に、東京防災学習セミナーから久保井千勢氏を講師としてお招きし、能登半島地震、熊本地震などの実態や教訓、さらに地震被害に備えたコミュニティの重要性をご説明いただいた。

久保井氏の講演は、あまり日本の災害になじみがない海外在住の人はもちろん、日頃から災害ニュースに頻繁に接する日本在住の人にも、あらためて地震被害の甚大さを印象付けるものであった。

 

その後チーム分けを行い、5つのチームを編成した。ハッカソンのはじめのステップとして、アイデアソンを各チームにて実施した。1時間半の短時間であったが、活発な意見交換がなされた。各チームによるディスカッションと提案書を作成後、再び全員が集まり、チーム別の発表となった。短時間の議論ではあったが、各チームとも「(ローコードでの)実現性」、「有効性」、「有用性」の観点で優れた発表であった。

以下に各チームの発表内容要約を示す。

 

最初のチーム(チーム名「TFASS」)は、各被災地における支援物資のかたより(偏在)を解決するソリューションを提案した。情報ギャップや交通網の混乱により、特に初期において支援物資の流通に課題があることは良く知られている。

そのソリューションとして、TPASSチームは供給物資を送る被災地が記載された地図アプリを提案する。そのアプリの中には供給する物資の配送会社のロゴと配送ボタンがあり、「各個人」が自分の必要な物資をリクエストする仕組みである。なぜ「各個人」にリクエストさせるかであるが、ジェンダーギャップや個人差を吸収するためである。どうしても多数の人に共通する要望ではカバーできない需要を補う仕組み、だと説明した。参加者からは、現代の被災地がかかえる課題の一つに、ピンポイントで対応するソリューションだと評価された。

 

続いてチーム2は、食事制限がある方にフォーカスした発表を行った。アレルギー、宗教的信条から、個人嗜好まで様々な理由で食事制限が発生する人は多い。

そういう人を対象としたマッチングアプリである。位置情報を用いて、食事提供者と食事制限のある人をつなげる役割を果たす。場合によっては命にもかかわる食事制限のある方も同じく食事をとれる仕組みを、「みんなの思いやり」とチーム2は呼ぶ。参加者からは、チーム1のアイデアを、食事制限がある人にフォーカスしたものだという評価が出た。

 

チーム3「チームHK2」は、被災者への配給支援に焦点を当てる。避難所の避難者は、様々なストレスを抱えた生活を余儀なくされている。

そうした避難所で生活する人が、利用できるスマホを用いて支援物資を個別に提供する仕組みを提案した。こうした仕組みには、あらかじめ企業と各地域の防災組織が協定を結び、災害時の物資提供について取り決めておく必要がある。災害発生に事前に備えた仕組みを考慮した点が素晴らしい、とのコメントが参加者からあった。日本では、地震などの災害があってから実質的な組織を立ち上げることが多いとされている。能登半島地震でも立ち上がりの遅さが(地理的条件を考慮したとしても)議論を巻き起こしたことは記憶に新しい。

 

チーム4の発表がユニークだったのは、短時間でユーザニーズの時間的変化をとらえた整理を行った点である。

時間や緊急度とともに変動するユーザニーズを踏まえた上で、AIの活用を積極的に提案する。

ネットやSNS、メディアの広がりにより、被災地にはさまざまな情報があふれている。中にはいわゆるフェイクニュースも存在し、その有害性が報じられている。そうした情報を適切に整理した形式へ変換するためにAIを活用、利用者はAI搭載のアプリ(あるいはボット)で必要な情報をタイムリーに入手できる仕組みである。MendixAI活用でも、最も優れたローコードなので、こうした形での利用は得意とするものである。迅速にアプリを構築できるメリットが、参加者からは強調された。

 

最後に登場したチーム5は、ボランティア活動に着目した。

1995年に発生した阪神大震災以来、日本では災害ボランティアが定着した。しかし災害ボランティア活動の組織化は道半ばであり、能登半島地震においてもボランティアの有効な活用法で議論は多い。チーム5はそうしたボランティア活動の重要性と、IT/Mendixを用いた有効運用・コミュニケーション活性化を提案した。

 

今回参加したチームは混成編成であり、また短時間の準備時間であったにもかかわらず、多くのアイデアが生まれ、活発なディスカッションの場となった。来る7月5日(金)には、金沢の地に再び結集し、実際に動くサンプルアプリを各チーム(ならびに追加チーム)に発表していただく。またハッカソン終了翌日の7月6日(土)には、有志により復興支援ボランティアに参加の予定である。

 

なお7月6日のハッカソン(金沢会場ならびにオンライン)には、アイデアソンに参加されていない方も参加できる

また視聴のみのご参加も可能です。ぜひご参加願います。

 

7月6日ハッカソン申込ページ

https://mendix.seminarone.com/mendixhackathon2024-Fin/event

 

成功裏に終わった能登半島地震復興支援ローコード・ハッカソンであるが、ぜひ次回は実際に動くアプリ、効果検証したアプリの登場を期待したい。そして能藤半島における震災復興、ならびに日本の震災対策、復興に貢献したい。

 

【「能登半島地震復興支援ローコード・ハッカソン」問合せ先】

シーメンス株式会社Mendix事務局 東田(ひがしだ) [email protected]