Kermit PPI社が病院での植込み型医療機器を30%削減
無料化への対応
病院は、ペースメーカー、人工関節、眼内レンズ、インスリン・ポンプなど、医師が日常的に使用する装置 (PPI) を使用して、約70年間にわたり命を救い、患者の生活を変えてきました。その間、医療技術は飛躍的に進化しましたが、請求業務はそうではありません。医療機器業界は請求業務を完全に管理し、病院は医療機器業界に翻弄されていました。取引の追跡は通常、手書きの請求書を使用して行われていました。価格の正確性や契約の遵守を確認する手段は、すべて手作業によるものでした。この環境では、コスト管理を実現するのは困難であり、維持することさえ難しい状況でした。
医療用インプラントの以前の営業担当者2名と経営者1名が、手術費用の抑制方法について病院に意見を求めるタスクフォースに参加しました。しかし、マクロが組み込まれたスプレッドシートでさえも管理しきれないような、複雑化したベンダー契約の実態が明らかになりました。長年にわたる問題に対処するために、斬新かつ最新のソリューションを必要としていました。チームは、蓄積された業界に関する深い知識と、ローコード開発プラットフォームのアジリティとスケールを組み合わせて、Kermitを構築しました。
Kermitは、病院がPPIの取引をリアルタイムで可視化できるようにするアプリです。このアプリにより、病院はコストを管理し、コスト削減の機会を特定することができます。Kermitは、病院がPPIコストを平均30%削減するのに役立っています。「ベンダーは請求の仕組みを管理しています」と最高経営責任者兼共同創設者のRich Palarea氏は言います。
「顧客は何に対して支払いをしているのか、よく理解していません。私たちが参加しKermitに着手したころ、すぐに事情を感じ取ることができました。とても有意義なものに遭遇したと思いました」。Kermit社サービス部門常務取締役兼共同創設者のJohn Owens氏は、「これらの製品に対して高額の支払いをしている病院のために、何かよいことをする機会に恵まれました」と言います。& 「私は医療機器の担当者でしたが、まったく同じ製品でも病院によって価格に差があることを目の当たりにしていました」
データドリブンな大変革
同社は、顧客に提供できる価値に対し自信を持ち、ペイ・フォー・パフォーマンス型の価格モデルを提供しています。当初は、病院に代わって新規医療用インプラント契約の交渉と管理を行い、チームのプロセスの有効性を証明しました。Kermit社の業務最高責任者兼共同創設者であり、元看護師でもあるJason Smith氏は、次のように述べています。「その直後にベンダーが今度は別の方法でアプローチしてきたことに気づきました。契約書の抜け穴を探そうとしていたんです」。
ベンダーの継続的な商習慣が、極めて重要な変化のきっかけとなりました。「机に向かって、100枚の明細付き請求書に目を通しては減らし、次の日にまた同じことを行う人材ではなく、請求を管理できるツールがまさに必要なのです」とSmith氏は言います。当初は、病院の監査とコンプライアンスのために、請求書の自動化・電子化を目的として開始したことが、それ以上の可能性を秘めていました。Smith氏は次のように述べています。「使用現場で集めた豊富なデータを蓄積しはじめていたときでした。何か手ごたえを感じていました」。Kermitチームは、自分たちのプロセスと製品が破壊的な性質を持っていることを認識しました。「50年以上も長期にわたって紙ベースで行われてきたプロセスを、デジタル・プロセスに変えたのです」とPalarea氏は言います。「これまで数値化されていなかったデータを抽出して構造化し、アルゴリズムを活用することで、病院内で実際に何が起きているかを示すことができるのです。医療データの急増により、病院の幹部は、どの分析が有意義で、変化を促進できるかを見極めようとしています」。
Kermit社の主任開発者であるDavid Zentz氏は、「手作業や人との対話だけでは容易に識別できないものを明らかにしています」と言います。「Kermitは、手術中に手術室内の監査とコンプライアンスを提供しています。自動化により、契約や特定の手術に関連するコンプライアンス上の問題を迅速に特定することができます。例えば、手術の一部ではない工程が手術に追加された場合、迅速に特定することができます」とZentz氏は述べています。「手術での使用を目的に、ベンダーが手術室に持ち込み、外科医に提供したものに対して、ベンダーが説明責任を果たすことで、実際にこうした問題を防いでいます」
展開、進化、反復
Mendixのローコード・プラットフォームでアプリを構築する推進力となったのは、市場投入までのスピードとコスト削減でした。「Kermitの最初のバージョンでは、開発者1名が9か月間で行うというものでした。予算も低く設定されていました」とPalarea氏は言います。「他社の同様の取り組みで、従来の一般的なスタック・アーキテクチャの開発チームを率いていたことがあります。今回、Kermitでの取り組みを実現するには、おそらく10名以上のスタッフ、少なくとも12か月の期間、そしてかなりの額の資金が必要であったでしょう」とSmith氏は認めています。「Mendixの中でプログラマーが行っていることは、従来の本格的なコーディングよりも、はるかに速いスピードで開発を行うことを可能にします。そのため、より迅速に市場に投入することができるのです」プラットフォームのスピードとアジリティは、構築しながらユーザーの視点を統合するのに役立ったのです。Smith氏は、次のように述べています。「開始当初、幸運なことに、元となる顧客がKermitを顧客の社内で構築することを許可してくれました。ローコード環境を活用することで、非常に迅速かつ効率的に構築でき、テスト、ロールアウト、顧客からのフィードバックによる修正を行うことができました」。KermitおよびMendixアプリはクラウド・ネイティブです。これにより、医療提供システム全体のコスト削減と支出管理において、関係者の協力を得ることができるほか、外科医、サプライ・マネージャー、経理担当者の代理を務めて、大きな影響を及ぼすことができます。リアルタイムのデータと分析により、傾向を把握し、契約上の問題を修正し、実行可能な削減機会を特定することができます。リアルタイムによる契約の遵守と価格の監査により、ベンダーとの契約を軌道に乗せることができます。これにより、病院の職員は、悪夢のような山積みとなった、面倒な事務作業から解放され、より価値の高い業務に集中することができるようになります。「Mendixのプラットフォームを使用すれば、構想したことを実現できるのです」と語るのは、物事を分解して元に戻す (「保証の無効化」) ことを得意とするZentz氏です。「これは非常に強力なツールで、開発のスピードアップにつながることは間違いありません。もちろん、コアとなるモジュールがあれば、それを組み合わせることもできます。また、Mendixアプリストアもあります。これは、コラボレーション型のオープンなコミュニティです。誰もが自身のアプリケーションの中で構築に必要なものを見つけ、それがほかの人でも使えると思えば、アプリストアに公開できます。そして、他の人がすぐにその機能を追加することができるのです」
現実世界で飛躍的に削減
病院は、とてつもなく大きな、コスト管理とコスト削減のプレッシャーにさらされています。University of Maryland Medical Systemのクリニカル・トランスフォーメーション担当シニア・バイス・プレジデントであるAndrew Pollak博士は、「多くの医療機関と同様、私たちは3%未満の利益率で経営しています」と述べています。Pollak博士の医療機関はKermitを使用しており、すでに12の施設で大規模な削減を実現しています。「2年間で3,000万ドルを上回る削減となり、1年間では、約1,500万ドルの削減となります」とPollak博士は言います。「結果として認識したことは、医療価値の向上です。患者を治療する際に使用する医療機器のコストを削減しても、医療の質を落としたわけではありません。しかし、コスト削減は行いました」。
Pollak博士は、さらに「Kermitは、患者ごとに、特定のインプラントと機器の使用状況を理解するのに役立ちます」と述べています。「このソフトウェアを使用することで、手術室や病室で、いつ、誰が、何を使っているのかが把握できるようになりました。そして、その情報を契約やベンダーと締結した契約書と照らし合わせて、購入方法が契約で定められた購入方法と一致しているかどうかを確認することができるのです」。Owens氏は、「コスト削減が1つの目的ですが、ベンダーがより高い価格を請求しようとしたり、契約していない新製品をひそかに追加したりした場合、その時点でリアルタイムでそのことを把握できます」と言います。「顧客のために削減を達成するだけでなく、それ以降も削減を継続させるのです」
何度でもイノベーションを創出する
Kermitの製品開発ロードマップは、不透明な医療品サプライ・チェーンの時代遅れのプロセスを排除または刷新するための機能を豊富に備えています。「病院が提案依頼書を作成し、ベンダーから価格提示を受け取ると、その価格表ファイルには50,000を超える製品SKUが含まれていることがあります」とSmith氏は語ります。「病院は、価格設定の際スプレッドシートや数式に頭を悩ませながら、変更を決定しています。これをKermitに取り込むプロセスを想定しています。
Kermitがそれを分析し、テクノロジーを分類して、サプライ・チェーンの担当者がベンダーと対処する必要があるすべての項目を数分で報告します」。Kermitにより、「コスト削減と患者の治療の向上のため、医師が好む機器の領域で、病院がパワーバランスを取り戻す」という会社のミッションが達成されました。チームは当初の目標を実現しましたが、すでにその成果を超えて、より大きな新しいアイデアに目を向けています。
Owens氏、Palarea氏、Smith氏、Zentz氏は、今後もMendixのプラットフォームで、構築、開発、考案を続けていくでしょう。「全員がある程度自分は開発者だと思っています」とPalarea氏は言います。「私たちの文化はイノベーションとコラボレーションです。それを機能させるには、チームメンバー全員が、全力で取り組む必要があります。だから、迅速にソリューションを市場に投入できているのだと思います。毎週、新しいソフトウェアをリリースしていますが、数年前では考えられなかったことでしょう」。
Smith氏は、アプリの開発と会社の進化には、チーム全体が欠くことのできない存在であると考えています。「組織の全員がKermitの作製者だと感じています。私たちはイノベーションを続けています」